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株式会社 エレックス極東

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絶縁油特性試験

絶縁油の劣化を知り、予防対策を実施できます。

高電圧を変圧する変圧器の中には絶縁油が入っております。この絶縁油の主な役割は機器の絶縁と冷却を行う役目があります。長年使用したり、 負荷率が高いと絶縁油の性能が低下していきます。また、絶縁性能が著しく低下すると絶縁破壊が起こり、安定した電気の供給が出来なくなります。

絶縁油の色相

絶縁油は使用するうちに、最初淡黄色であったものが次第に茶褐色に変色し、ついにはスラッジ(絶縁油の劣化によって生成する泥状物質)を生成し 機器のトラブルの原因となります。このような劣化油を使用すると変圧器の破損を招くだけでなく電気の供給が長時間にわたり停止します。

絶縁油の劣化

変圧器絶縁油の劣化過程

変圧器が運転されると温度が変化し外気との間で呼吸作用が行われます。その際、変圧器に気密不良や油漏れなどがあると、絶縁油に空気中の酸素や水分が取り込まれます。

絶縁油中の酸素や水分は変圧器内部の鉄分に接触した状態で運転中の温度上昇が加わると、酸化が促進され絶縁油の酸価(酸性有機物質の総量)が増大します。 酸価が進展すると絶縁油と金属やコイル絶縁物が化合しスラッジが生成されます。

スラッジが変圧器内部の部位に付着すると冷却効果が低下し、温度上昇が著しくなり絶縁物の熱劣化が加速され、絶縁の劣化につながります。 絶縁劣化した状態で運転を続けていると、部分放電が発生したり、絶縁破壊に至ることになります。

また、絶縁油自体も劣化生成物の溶解によって吸水性を増し、絶縁抵抗の低下やtanδの増加など絶縁特性が低下します。

絶縁油の劣化の流れ

絶縁油特性試験 試験項目

弊社の絶縁油特性試験では、全酸価、絶縁破壊電圧、体積抵抗率、水分の4項目を分析し、絶縁油の劣化度を判定。定期的な試験を行うことで絶縁性能を把握することができます。

・全酸価試験: 絶縁油劣化の化学的評価

全酸価とは絶縁油1g中に含まれる全酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの㎎数を云います。

油中の水分や不純物の混入、酸化により酸価値が増加すると絶縁物の劣化を促進させ、絶縁性低下の原因にもなります。

・絶縁破壊電圧試験: 絶縁油の絶縁性評価

絶縁破壊電圧試験は絶縁油を試験用容器に採取し、絶縁油中において球状電極間ギャップに商用周波数の電圧を引火し、毎秒約3kVの割合で上昇させ絶縁破壊電圧を測定する方法です。

絶縁破壊電圧は油中の水分やごみ、絶縁物の繊維などの影響を受け低下します。絶縁破壊電圧の低下は変圧器の絶縁破壊事故の重大要因となります。

・体積抵抗率試験: 絶縁油の絶縁性評価<

体積抵抗率は変圧器の巻線-大地間の絶縁抵抗値と直接相関があり、絶縁油の温度上昇や油中に存在する水分、劣化物などによっても影響されます。

・水分試験: 絶縁油の間接的評価

水分試験は試料油を試薬による容量滴定方法または電気分解による電量滴定方法で行われます。

絶縁油中の水分は絶縁破壊電圧に大きく影響を及ぼし、絶縁紙の劣化も促進されます。

経年劣化度判定管理基準値

全酸価 絶縁破壊電圧 水分 体積抵抗率
0.2[mgKOH/g]以上 30.0[KV/2.5mm]以下 40[ppm]以上 1012[Ωcm80℃]以下
全酸価 絶縁破壊電圧
0.2[mgKOH/g]以上 30.0[KV/2.5mm]以下
水分 体積抵抗率
40[ppm]以上 1012[Ωcm80℃]以下

出典:(社)電気学会電気規格調査会・(社)石油学会絶縁油部会電気絶縁油保守管理指針(昭58-12)に拠る

絶縁油特性試験風景1

絶縁油特性試験風景2