主遮断装置の種類
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受変電設備の保護方式は、主遮断装置で“CB形”と“PF・S形”の二つに分けられ、高圧受電設備の電線や機器を保護し、過電流等による波及事故防止を目的としています。他需要家へ影響を及ぼさないために、主遮断装置を設置し配電用変電所との保護協調を図る必要があります。
- CB形
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高圧交流遮断器を使用し、過電流継電器・地絡継電器などと組み合わせ、過負荷・短絡・地絡・その他事故時の保護を行います。精度が高く選択遮断が可能なため、重要度の高い設備や規模の大きな設備に用いられます。現在では、遮断器の種類はほとんどが真空遮断器(VCB)が使用されています。
- PF・S形
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高圧限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器とを組み合わせて保護を行います。過負荷・地絡保護が必要な場合は、引外し装置付きの負荷開閉器を使用し、高圧限流ヒューズとの保護協調を考慮します。ヒューズを使用することでCB形に比べ経済的で、比較的小規模の設備に使用されます。(受電設備容量300kVA以下)
受電設備容量の制限
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受電設備容量は、主遮断装置の形式及び受電設備方式により、次の表(出典:一般社団法人 日本電気協会 需要設備専門部会)のようになります。
主遮断装置の保守点検
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- 真空遮断器(VCB)
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- 絶縁物表面に塵埃(じんあい)や化学物質などが付着した状態で高湿度状態になると、絶縁抵抗が低下しトラッキングが発生する場合があり、地絡や相間短絡事故に至る危険があります。定期的な絶縁抵抗測定の実施や入念な清掃を行うことが重要です。
- 真空バルブ内は高真空に保たれているため点検できませんが、微小な損傷や腐食等による真空漏れや遮断時の電極溶融によるガス放出などにより、真空度が低下する場合があります。絶縁破壊電圧が下がり事故時に遮断不能になるだけでなく、遮断器そのものが絶縁破壊する恐れがあるため、真空チェッカなどを使用し定期的に真空度を測定します。
- 一般的に開閉回数が少ないため、機構部の潤滑が行われにくい傾向にあります。また、塗布したグリースの経年劣化により油分が失われ、動作が重くなり投入不良やトリップ不良が生じることがあります。定期的な動作点検・注油が必要です。
- 高圧交流負荷開閉器(LBS)
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- 接触部が空気中に露出しているため、粉塵(ふんじん)の付着や通電部のグリースの枯渇・固着などにより接触不良になる場合があります。接触不良は加熱の原因となるため、注意が必要です。
- 絶縁部が汚損された状態で吸湿すると絶縁が低下し、地絡・短絡に発展することがあるため、定期的な清掃が重要です。
主遮断装置の更新推奨時期
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更新の目安として、各機器におおよその更新推奨時期が定められています。この更新推奨時期は機能や性能に対するメーカーの保証値ではなく、通常の環境で保守点検を行い使用した場合の、機器の老朽化などで新品に更新した方が、経済的にも有利と考えられる時期となっています。
事故・トラブルの発生前に機器を更新し、
設備にあった主遮断装置を使用しましょう。